『AdWords の掲載順位を指定した入札の終了』の裏側

4月 7, 2011 | レビューと解析, 単価・見積もり・入札価格, 海外情報

AdWords の公式ブログで 「掲載順位設定機能」 を 5 月上旬に終了するという発表がありました。

もともと広告の位置が指定できる機能を使ったこともなければ、オススメしたこともないので、惜しむことは無いのですが、この機能が終了するというお知らせよりも、その理由のほうが大事だったりするので、公式ブログで省略されてしまっている部分の解説をしたいと思います。

平均順位のトリック

平均順位のデータをみるときに、気をつけなければいけない部分を Google のチーフ エコノミスト Hal Varian 氏(以前、Google のヘッドオフィスに行ったときに写真とったこちらの方です…)がいくつか説明してくれています。

まず気をつけなければいけないのが、オーガニックの上部に表示される AdWords 広告(プレミアムポジション)と、右側に表示される広告です。

場合によっては(広告の品質スコアがある一定の条件を満たしていない場合など)、プレミアムポジションに広告が表示されずに、右側だけに広告が表示される場合があります。

ところが、右側だけに広告が表示されるこの場合でも、右側にある一番上の広告は、”広告掲載順位は1位” です。

プレミアムポジションの1位に表示された場合のパフォーマンスと、右側で表示された1位では、同じ “広告掲載順位は1位” でも、クリック数やクリック率が大きく違ってきます。

ということで、まずは同じ広告掲載順位の1位でも、2種類あることを理解しなければいけません。(入札オークションの順位と、広告表示位置の関係です。)

これを理解した上で、次に AdWords の掲載順位にフォーカスし過ぎることのリスクを知ることが出来ます。

平均順位が低いのに、パフォーマンスが高いケース

高い順位を狙えないような競合性の高いキーワードは、それなりの理由があります。

競合性の高いキーワードというのは、高いパフォーマンスが期待できるケースが多いから、広告主はそのキーワードに集まってくるわけです。逆に言えば、誰も入札しないようなキーワードは、パフォーマンスが期待できない可能性も高くなります。

※ もちろん、全ての場合にそれが言えるわけではありませんので、誤解のないように…

つまり、競合が全くないキーワードで1位を獲得するよりも、順位は低いけど競合性の高いキーワードで表示されていたほうが、高いパフォーマンスが期待できる可能性が高くなることもあるので、広告掲載順位だけにフォーカスするのは危険だという話です。

入札価格をあげることで、広告表示位置は変わるが入札オークションの順位は変わらないケース

上記で紹介した、プレミアムポジションと右側の広告で、仮に右側の広告で1位表示されていた広告があったとします。

この広告主が入札価格をあげた場合、入札オークションの順位は1位で変化はないのですが、広告の品質スコアが一定の条件を満たしていれば、入札価格をあげたことでプレミアムポジションの1位に表示される可能性があります。

これにより、順位には変化がないのですが、パフォーマンスに大きな違いが出てくる可能性があります。

入札価格をあげることで、逆に平均順位が低くなるケース

通常であれば、入札価格をあげれば平均順位はアップするのですが、以前もこのブログで紹介したように、その逆のケースも存在します。

特に、部分一致のような入札をしていると、入札価格をあげたことで、別の検索キーワード(検索クエリ)のオークションに参加してしまうことがあります。

例えば、部分一致の [ドッグフード] というキーワードで1位の広告主のことを考えてみます。

[ドッグフード] というキーワードで検索された場合は1位に表示されるので、平均順位は1位です。

この広告主が、このキーワードの入札価格をあげたことで、[無添加 ドッグフード] という検索キーワードでも広告が表示されるようになりました。([ドッグフード] の部分一致がトリガーになっています。)

仮に、[無添加 ドッグフード] というキーワードの方が競合が多く、そのキーワードで表示される場合は広告の順位は7位だったとします。

こうなると、部分一致の [ドッグフード] の平均順位は、

(1 + 7 ) / 2 = 4

となります。

もともと平均順位が1位だったのに、入札価格をあげたことで、平均順位は4位になってしまいました。

かなり昔にあった、ディスプレイネットワークの広告平均順位が表示されなくなった理由と同じような現象です。

まとめ

つまり、広告の平均順位だけにフォーカスするのではなく、その周りを見ること、更には入札価格を増やすことでどれだけクリックやコストが増ていくのかを知ることのほうが、最適化しやすくなるということです。

AdWords で、入札価格を増やすことでどれだけクリックやコストが増ていくのかを知るためには、入札単価シミュレーションが参考になります。

更には、入札単価シミュレーションのデータを使って利益をあげるためには、利益を最大化するための入札価格の決定方式 も参考になるかとおもいます。

P.S.

毎回思うんですけど、Google の Hal Varian 氏の話を聞いてると、単純に賢いという以上に、すごい深いなと感じると同時に、 こういう人がいるから AdWords は AdWords なんだな〜と感じます…

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント (1)

 

  1. ゆきち より:

    掲載順位1位のキーワードの単価をあげるという発想がありませんでした。
    むしろ微妙に下げていたくらいです。。。

    単価を下げてパフォーマンスにどのような影響が出るかに焦点を当てていました。

    有益な情報をありがとうございます。