あの世界的に有名なサービスが、AdWords で失敗した理由

11月 10, 2010 | PPC広告全般, ディスプレイネットワーク, 検索ネットワーク, 海外情報

先日、世界的に有名なサービスが、AdWords を使ったけど上手くいかなかったという記事を発見しました。

その世界的に有名なサービスとは、Dropbox のことです。(使ってなくても、耳にしたことがある人も少なくないと思います。)

その本文 DropBox の広告は、なぜ失敗に終わったのか?(英語記事) には、検索されなかったから上手くいかなかったという結論がでているのですが、この事実を僕なりにもう少し深く分析し、本来どう AdWords を使うべきだったのかを説明していきたいと思います。

その前に、Dropbox のことを知らない方の為に、その説明をしておきます。

DropBox とは、WEB 上に自分専用のハードディスクを持つことのできるオンラインストレージサービスです。

詳しい説明はこちら が参考になると思います。

まあ簡単に言うと、USB メモリが WEB 上にあると考えて頂いても良いかもしれませんが、ただのオンラインストレージではなく、削除ファイルを復元したり、友人との共有など、高機能なファイル同期・バックアップシステムが特徴です。

その便利さゆえに、日本でも口コミで広がって、使用している人をよくみかけるのですが、そんな世界的にメジャーなサービスが、なぜ AdWords を使って上手くいかなかったのでしょうか?

これだけ大きく口コミで広がったところをみると、サービス自体が悪かったワケではなさそうですし、ニーズが無かったワケでもなさそうです。

画期的な発明商品は検索されない

  • 会社のパソコンで使っているファイルを、自宅でも作業したいけど、USB メモリに保存するのが面倒だ!
  • うっかり削除しちゃったファイルを取り戻したい!
  • 上書きしちゃったファイルを前の状態に戻したい!
  • メールでは添付できない大きなファイルをほかの人に送りたい!

このような悩みはあります。

ところが、このような悩みは潜在的な悩みであり、解決法があることすら気付かない人が大半です。

つまり、悩んではいるけど、解決できないのが当たり前なので、日々の生活でそれを受け入れてしまっているので、自発的にそれを解決する解決方法を探そうとはしません。

それを解決できる画期的なサービスが発明されたとしても、受動的に知らせてもらえなければ、それを知ることが出来ないのです。

例えば、Skype なんかも同じような例で挙げられると思います。

10 年前、国際電話は高いと認識されていました。

高すぎると文句を言う人もいれば、高いという理由で国際電話は極力みじかくする努力をしていた人も少なくないでしょう。

今でこそ Skype というサービスを使えば、その悩みは一気に解消されるのですが、Skype のサービスが認知されていなかったころ、『無料の国際電話』を検索で探す人がいたと思いますか?

そのころは、無料で国際電話がかけられるなど想像もできなかったので、そんなキーワードで検索すること自体が稀でした。

似たような現象は、他のマーケットでもあります。

例えば、ダイエットなんかが良い例でしょう。

痩せたいと願っている人は、たくさんいます。

ところが、意外に思うかもしれませんが、ダイエット方法を検索で探している人は、そのマーケットの大きさからすると、驚くほど少ないのが現実です。(その商品を既に知っていて、ダイエット商品の名前で検索するケースは、今回の趣旨から外れるので、除外しています。)

痩せたいと願っている人の中には、何度かダイエット商品を購入して試してみた人もいるでしょう。

効果がなかったと諦める人もいれば、ちょっとは効果があったからそのダイエット商品を使い続けているかもしれません。若しくは、使い続けていても、もっと痩せたい(もっと簡単に効果があるものがあれば良いのに)と思っている人も少なくないハズです。

でも、その人たちが新しいダイエット方法を検索で自発的に探すことはありません。(もちろん、常に新しいダイエット商品に注目しているマニアの方はいますが、その数は多くはありません。)

大半が、受動的に聞いたり発見したりしたダイエット商品に対して、何となく『良いかも…』という感触を覚え、その商品名を検索して、購入するというのが一般的な流れです。

受動的に聞いたり発見するケースがなければ、つまりブランド名を事前に知ってもらっていない場合は、検索すらされないという状況になります。

デジカメが壊れたから、デジカメを検索して買うというのは、すぐに解決したいニーズが発生したのと同時に、ユーザーが『デジカメはインターネットで通販している』という事実を知っているからです。

この違いが分かるでしょうか?

  • ダイエット商材
  • 美容
  • 男の悩み
  • お金の悩み
  • などなど…

これらの商品は、潜在的なニーズはあるけど、その悩みは簡単には解決できないものだと納得しているので、自発的にそれを解決する解決方法を検索で探さないのです。(何度も言うように、その数はゼロではありませんが、マーケットの大きさからすると、その検索数は驚くほど少ないのです。)

潜在ニーズに訴えかける効果的な宣伝方法

では、そういった潜在的な悩みを解決してくれるような画期的なサービスは、AdWords では受け入れられないのでしょうか?

イノベーション的な発明、検索されない商品・サービスは、AdWords を使うべきではないのでしょうか?

その解決方法あります!

そのような商品・サービスを、効果的に宣伝する最善の方法は、ディスプレイネットワークを使う事です。

ディスプレイネットワークを使う事で、潜在的な深い悩みを持っているユーザーに対して、新商品をアプローチすることが出来ます。

その数は、検索ユーザーの比ではありません。(一般的にインターネットユーザーの 7 割にアプローチできると言われています。)

AISAS

AISAS の法則をご存知でしょうか?

  • Attention(注意)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(共有)

というように、現在のインターネットユーザーの動きを表しています。

検索の広告を使うという事は、その名の通り、3 番目の Search(検索)のユーザーにアプローチすることになります。

ディスプレイネットワークを使うという事は、1 番目の Attention(注意)のユーザーにアプローチすることになります。

ということは、そのアプローチの仕方も違います。

もっと具体的に言うなら、その広告文も必然的に変化してくるハズです。

検索ユーザーに対しては、検索したキーワードに応えられる広告、ディスプレイネットワークのユーザーに対しては、注意を惹きつけるような広告であるべきでしょう。

ディスプレイネットワークと検索ネットワークの使い方の違いをよく考えたうえで、商品によって使い方を考えることも大事です。

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