クリック率の比較がナンセンスな理由
4月 18, 2011 | PPC広告全般, レビューと解析, 品質スコア, 広告
品質スコア をアップさせるには、クリック率が大事だということを認識している方は多いのですが、そう認識している人に限って必ずといって良いほど、
『クリック率は何パーセントが理想ですか?』
『クリック率のボーダーラインはどれくらいで、どこまでが良いクリック率といえますか?』
『クライアント A のクリック率は 3% もあるのに、クライアント B のクリック率は、何をやっても 1% を超えないんですけど、大丈夫ですか?』
という質問を受けます。
他人のことが気になって比べたくなる心理はよく分かりますが、実際にはそうすることにほとんど意味はありません。(逆に、そのデータに惑わされて、アカウント運営の妨げになることもあります。)
もちろんクリック率をあげることは大事なことです(アカウント内の今ある広告のクリック率よりどれくらい良いか・悪いかの判断をすることは良いと思います)が、別の商品・マーケット・アカウントと比べることに意味はありません。
予算が違う
同じような商品を取り扱っている広告主 A と B がいると仮定します。
同じマーケットにいるのですが、広告主 A の広告予算は 5 万円、広告主 B の広告費は 100 万円だったとします。
当然ですが、予算の少ない広告主 A は、かなり絞ったキーワードで攻めるしかありません。ブランドキーワードやキャンペーンキーワードだけにフォーカスしているので、アカウント全体のクリック率も 10% を超えています。
反面、広告主 B はブランドキーワードだけでは予算を消化できないので、そのマーケットのビッグキーワードや、関連ニッチキーワードをたくさん追加します。少しターゲットを外したキーワード(それでもある程度のパフォーマンスが期待できるキーワード)にも手を出しているので、アカウント全体のクリック率は 1% 程度です。
広告主 A と B を比べたときに、クリック率で言えば圧倒的に広告主 A の方が良いのですが、かと言って広告主 B のアカウント運営が良くないのかというと、そうではなさそうです…
クリック率に差が出るのは、選ぶキーワードだけではありません。
全く同じキーワードを買ったとしても、ブレを無くすためにキーワードの設定は全て完全一致 で運営している人と、より広範囲のユーザーにリーチしたいという思いで部分一致 で設定している人では、クリック率に差が出てくるので、比較をして一概にどちらが良い・悪いの判断はできません。
順位が違う
例えば、広告順位が1位のプレミアムポジション に表示されている広告と、右側の5位ぐらいに表示されている広告のクリック率を比べたときに、プレミアムポジションの1位の方がクリック率は高くなることはデータでも証明されています。
だからといって、プレミアムポジションの1位の方が必ずしもいいとは限りません(予算の関係もあることでしょう)し、高い順位に表示されてたとしても品質スコアはアップしません。(それが原因でクリック率が良くなった分は、品質スコアには考慮されません。)
マーケットが違う
例えば、SEO・SEM 業界のテーマのブログ(このブログもそれに含まれるけど…)に貼ってあるアドセンス広告と、料理のレシピサイトに貼ってあるアドセンス広告を比べたときに、どちらがクリック率が良いと思いますか?
SEO・SEM のブログを読んでいる人たちは、当然ですがそれが広告だと分かっている確率がかなり高いでしょう。
そうなれば、必然的にクリック率に差が出てきます。
もちろん、アドセンス広告(ディスプレイネットワーク)に限らず、検索ネットワークでもクリックされやすいマーケットと、どうでないものはあります。
その他
その他にも、
- 配信先が違う(ディスプレイネットワークは、検索ネットワークに比べてクリック率が悪いので、それをやっているアカウントとそうでないアカウントを比べることに意味はないですし、その他モバイルや広告が配信されるサイトによってクリック率は異なる)
- 広告のタイプが違う(バナー広告・ビデオ広告などいろんな広告タイプがある上に、広告のサイズによっても、クリックされやすいものとそうでないものがある。)
といった、違いもあります。(このへんは非常に分かりやすいので、”この条件が同じ場合” と前置きされることが多いですが…)
まとめ
条件が異なれば、クリック率も異なるのは当然ですし、それを比べることに意味はありません。
このへんは分かっていても、あまりにもうまくいかないことが続くと、気持ちが折れそうになって、思わず比べたくなっちゃう気持ちも分からなくはないですけどね…
アップデート 2014 年 3 月 5 日
『クリック率ってどれくらいが理想?』の質問に、真面目に答えを出してみるべく、実際のデータを使って検証してみました。
ある程度の指標になると思いますので、参考にしてみてください。